AI創薬に関する人材育成の取り組み
AIを取り入れた創薬で効率化、自動化する動きが出ている現状で、AI創薬をするために必要な人材はどのようなスキルが必要なのでしょうか。国内外の製薬業界の動きから今後のAI創薬の人材育成について説明します。
AI創薬を叶えるために必要な人材とは
AI創薬は、データの分析や推論をAIに任せることで開発期間を短くし、コストを抑える事が期待されています。現在の創薬では、研究者がターゲットの探索からスクリーニングまでを自身の経験をもとに行い、そこから大量の実験を繰り返しています。AIの推論を活用してスクリーニングを行うことで大幅に時間を削減できるだけでなく、成功率の高い組み合わせを見つけ出すことが可能です。今後の創薬では、研究者がうまくAIを活用できる環境を作ることがカギになっていくでしょう。
AI創薬に必要な技術とは?どんな人材が良いのか
AIを活用するために必要な技術は以下の通りです。
- 数学・統計学の基礎知識
- 専門ツールの利用スキル
- 計画を立てて設計、実装、テストというアジャイル開発に適応できる
研究者自身が専門ツールを使いこなせなければAI創薬は叶いません。ある程度の基礎知識と適応能力が大切です。
またシステム開発をする人材も必要です。研究者がシステム開発の知識を持っている、作業ができる事はもちろん、新薬開発に集中できる環境を作るために分担する必要もあります。
またITベンターを活用するなど、環境を整える事も重要になってくるでしょう。
製薬業界が意識すべきプライバシーへの配慮
AI創薬で研究データを活用していくためには、研究者が様々なデータにアクセスできることが重要です。その際に問題となるのが「データ提供者のプライバシー保護」。法整備がされていない現状では、今後のプライバシー保護法に対応できる事はもちろん、先を読んで最初から医療情報の提供者のプライバシーへの配慮を行う必要があります。
システムとしてプライバシーの配慮を行うことは当然ですが、データを扱う研究者にもその意識がなければなりません。人材育成の際にはプライバシーの保護についても改めて学んでおくことが大切です。
日本国内のAI創薬に関する人材育成の動き
AI創薬にはデータサイエンス人材の確保が重要となっていますが、現状では大学や公的機関の研究者が産業界へ流れており、産業界の人材が外資系やベンチャー企業へ流れるケースが増えてきています。
データサイエンスに精通している人材が必要である一方で、AI創薬以外にも医療分野でのデータサイエンスを専門に学べる環境が少なく、人材育成ができない状況です。
今後AI創薬分野を発達させていくには、医療分野でのデータサイエンスを身に着ける人材育成が重要視されるでしょう。
医療・創薬データサイエンスコンソーシアムとは
医療・創薬データサイエンスコンソーシアムは、不足するデータサイエンティストを育成するために、文部科学省が若手研究者の人材育成をしている共同事業体です。積極的に企業の若手研究者や大学院生が学べる環境を作り、今後のAI製薬業界への動きに後れを取らないように人材育成をしていきます。
東京医科歯科大学データサイエンス人材育成プログラムとは
東京医科歯科大学では、文部科学省の人材育成プログラムとして、「医療・創薬データサイエンスコンソーシアム」でカリキュラムの提供をしています。新しいデータサイエンスの確率を目指し、ICT(情報通信技術)・IoT(インターネット活用)などのAI技術を活用できる人材育成を行います。
- データサイエンス入門
- データサイエンスのための基礎数学
- ゲノム医科学基礎
- マネジメント持論
- 知的財産持論
上記の講義のほかに、プログラミングの実習、研修や企業インターンシップなども行われます。
日本の製薬会社の動きは遅れている?
製薬業界そのものは、ハイスループットスクリーニングと呼ばれる有用な化合物を効率よく選別する技術により膨大な量のデータを扱えるようになりました。
海外では、このハイスループットスクリーニングを効果的に活用して新薬開発をしていますが、日本ではAIを導入することで仕事が奪われる感覚になってしまい、導入が遅れている傾向にあります。
AIにより製薬業界はどのように変わるか
海外ではAI技術を利用するところと研究者が作業をするところの分担ができていますが、日本の製薬業界では「今までの日本の製薬業界でやってきた作業がAIに奪われた」という感覚が強く、役割分担がうまくできていないのが現状です。
AI人材の育成を急ぎ、AIを活用した研究に考え方から切り替えていく必要があります。そのためにはAI創薬をサポートしてくれるビジネスパートナーと共に研究を行う、医療データサイエンスの人材育成を行うのが良いでしょう。
自然言語AI+バイオロジストが課題を解決
FRONTEOの「Drug Discovery AI Factory」は、AIを活用して、創薬プロセスの効率化・高速化を支援するソリューションです。基礎研究・標的探索・仮説生成といった創薬の初期段階において、大手製薬企業出身のバイオロジストが自社開発の自然言語AI「KIBIT」を活用し、重複差分解析や2次元マッピング解析、ベクトル加算解析など独自の解析を実施。顧客のオーダーにあわせた標的分子・バイオマーカー・MoA・新たな適応症の提案などをスピーディーに行なってくれます。