メドテック(MedTech)とは

メドテックとは、医療(medical)と技術(technology)という2つの単語を組み合わせた造語です。バイオテクノロジーやハイテクノロジー、ITなどの技術を医療に活用することで、業務の効率化や新しい治療法・薬剤の開発などにつなげる取り組みを指します。

高齢化による医療需要の増加や医療費の増大、医療従事者の人手不足などが問題になっているなか、これらの課題を解決する糸口として期待されているのがメドテックです。医療機器メーカーや製薬会社、IT・電機・通信大手などの企業がメドテックの分野に積極的に参入しており、成長産業としても注目を集めています。

目次

メドテックで活用される技術

AI

人工知能であるAIはさまざまな業界で導入されており、医療現場においてもAIを活用した診断支援システムや診療支援システムの市場が活発になっています。AIの強みは膨大なデータの解析と学習を得意としているところで、がん研究に関する論文を大量に読み込んだAIが、特殊な白血病を10分で診断した事例も。AIならではの精密な機械学習により、難病治療や新薬の開発に新たな知見をもたらすことが期待されています。

AI創薬

AI創薬とは、AI技術を活用して新薬の開発や研究プロセスを推進させるアプローチです。AIが得意とするデータ処理能力を活用すれば、膨大な研究情報や分子データを効率的に解析することが可能。研究・開発プロセスの大幅な効率化を図ることにより、開発期間の短縮やコスト削減を叶えられ、新たな治療法や新薬候補の発見、難病治療への貢献が期待されています。

IoT

IoTは、さまざまなものをインターネットに接続し、ネットワークを用いて情報を収集・共有する技術です。

IoT関連の技術で医療分野の設備にインターネットを接続するIoMTと呼ばれるものもあり、IoMTを活用することで患者と医師がリアルタイムで情報を共有したり、医療従事者が医療機器の作動状況を監視したりすることが可能に。患者や病院間での情報共有をスムーズに行えるほか、遠隔診療やオンライン診療にも生かせる技術です。

5G

移動通信システムのことで、従来の4Gに比べて超高速通信が可能で、大容量のデータを送受信できるという特徴があります。映像や音声などの通信のラグタイムもほぼないことから、膨大な情報量のやり取りを遅延なく正確に行う必要がある遠隔医療(オンライン診療)で主に生かされている技術です。

また、遠隔画像診断や遠隔ICUなど専門医とそうでない医師をつなぐ医療においても5Gの技術が活用されています。

メドテックが期待される分野

新薬の開発

新薬の開発には膨大な時間とコストを要しますが、IoTを活用して人体の情報を多く収集し、さらにAIでビッグデータを分析することにより開発時間を短縮できる可能性があります。また、AIに新薬の候補となる化合物のシミュレーションをさせるといった活用もされ始めているようです。

効率化

ロボットによる効率化が期待されており、手術中の医師の腕を支える支援ロボットを含む、医療者の負担を軽減する機器が開発されています。また、体力を必要とする介護やリハビリの現場においても、ロボットの使用は非常に有効と考えられていることから、介護用ロボットの実用化も進んでいく見込みです。

さらに、超高速通信と組み合わせることで、医師が遠隔地からロボットアームを操作して手術することも可能になると考えられています。

ヘルスケア

健康維持や増進などを目的としたモバイルデバイスやアプリを活用することで、患者が自身の健康管理を行うことが可能です。たとえば行動変容を促すアプリやAI診断技術を利用して生活習慣を見直すことにより、病気の原因になりかねないリスクを減らせ、生活習慣病をはじめとする病気の予防につながります。

医師や看護師の人手不足という課題を抱える医療業界において、患者の自己管理により病院を利用する人が減ることは、医療需要を抑えられるというメリットがあります。

ネット上での医療サービスの提供

IoTを搭載した診断機器や医療機器などを使ってインターネット上で情報の記録ができるほか、Web問診やバイタルサインのリアルタイム共有が可能に。また、医師と専門医をつないで情報を共有したり相談したりしながら、より専門的な診療を行うこともできるようになります。

5Gの通信技術を用いれば映像や音声などを遅延なく通信できるので、オンライン診療のサービス拡大や遠隔医療の質の向上を図ることができるでしょう。

生活観察

日本の大手企業と国立の研究センターが軽度の認知症を早期発見するシステムの共同研究を発表し、実際に高齢者向け施設にて設置・研究が進められています。不自然な時間に外出していないかを調べるセンサーや、就寝・起床時間や熟睡の度合いを測る機能を搭載したベッドを設けるなどして、入居者の生活を観察。収集したデータを分析し、軽度の認知症が確認できた場合は医療機関への受診を促すシステムとなっています。

メドテックの発展を後押しする施策

ベンチャー等支援戦略室

保険医療水準のさらなる向上と経済成長への貢献を目指し、厚生労働省が設置している医療系ベンチャーの支援制度です。

ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト(JHeC)

経済産業省では、社会における認知度の向上を図るために、医療分野での開発に取り組んでいる個人やベンチャー企業を表彰するイベントを開催。イベント開催のそのほかの目的としては、個人・ベンチャー企業が大企業やベンチャーキャピタルなどのビジネスパートナーを見つける場にするという狙いもあります。

MEDISO・InnoHubの連携

ヘルスケアベンチャーなどからの相談内容に応じて適切な支援ができるように、相談窓口となっている厚生労働省のMEDISO(医療ベンチャー・トータルサポート事業)と、経済産業省のInnoHub(経産省ワンストップ窓口)が連携し、相互に紹介するという取り組みが行われています。

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取材協力
FRONTEOの公式サイトキャプチャ

引用元:FRONTEO公式HP
(https://www.new-dd.com/wp/wp-content/uploads/novel-targets-library_20240530.png)

自然言語AI+バイオロジストが課題を解決

FRONTEOの「Drug Discovery AI Factory」は、AIを活用して、創薬プロセスの効率化・高速化を支援するソリューションです。基礎研究・標的探索・仮説生成といった創薬の初期段階において、大手製薬企業出身のバイオロジストが自社開発の自然言語AI「KIBIT」を活用し、重複差分解析や2次元マッピング解析、ベクトル加算解析など独自の解析を実施。顧客のオーダーにあわせた標的分子・バイオマーカー・MoA・新たな適応症の提案などをスピーディーに行なってくれます。