臨床試験

臨床試験の課題を解決する方法として、AIの活用やDX化などが進められています。しかし、創薬開発の効率化・高速化・コスト圧縮を目指すなら、基礎研究や仮説生成のフェーズでAIを導入するのがおすすめです。

ここでは、臨床試験における課題と解決法について解説します。

目次
臨床試験

臨床試験とは?

臨床試験とは、新しい治療法、医薬品、医療機器、診断方法などの有効性や安全性について確認するため、ヒトを対象に行われる試験のことです。

臨床試験には「治験(ちけん)」と「自主臨床試験」があり、厚生労働省によって承認され、市販される前の薬や医療機器に関する臨床試験を「治験」と言います。

「臨床試験」というと人体実験を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、治験には、製薬企業や治験を実施する医療機関、医師に対して厳密な基準が定められており、全ての治験はこの基準に則って行われています。

臨床試験の主な課題とは?

試験を行うための費用や人的リソースなどが多くかかる

年々高額になっていると言われる新薬の研究開発費。この大半を占めていると言われるのが臨床試験費用です。

臨床試験では主に、試験計画、被検者招集・モニタリング、データ分析、文書作成といった業務を行いますが、それぞれに膨大な人的リソースや物的リソース、技術的リソースが必要です。

開発した医薬品や医療機器が実際に市場に出回るまで、数十億円単位の費用がかかることもあるため、費用削減のため、AIの導入やDX化による業務効率化が進められているのです。

偏りなく被験者を集めるのが難しい

臨床試験には、少数の健康な人に対して医薬品の特性を調査する「フェーズ1」、少数の患者に対して医薬品の有効性や安全性を確認する「フェーズ2」、多数の患者に対して医薬品の有効性や安全性を確認する「フェーズ3」の3つの段階があります。

このうちフェーズ 3は、被検者を大規模に集めなくてはならず、多くのコストや期間が必要です。被験者の属性によっては結果に影響を与えることがあるため、被験者の選択には注意を払わなくてはなりません。

また、患者数の少ない疾患の場合は被検者自体を集めることが難しい上、結果の信頼性が問われる可能性があります。

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考察

AI活用によるDX化は
すでに結果が出始めている
~「New-drug-discovery」編集チーム(Zenken)より~

必要な論文を全て把握できない・客観的かつ網羅的な検索や分析ができない、といった論文検索の課題は、AIを導入することで解決が可能です

上記で挙げた課題を解決するために、ロシュ・中外製薬では、数多くのクリニックと研究機関、がん領域トップの企業各社と協同して、がん患者のEHR (電子カルテ)データを大量収集。

これを対照群とした臨床試験を行うことで、被検者招集の課題を低減しました。また、臨床試験のビッグデータ処理をAIで自動化するなど、AI活用によるDX化も進められています。

しかし、さらなる創薬開発の効率化・高速化・コスト圧縮を目指すなら、もっと前段階であり、時間と労力が最もかかる基礎研究や仮説生成のフェーズにも目を向けるべきでしょう。

下記のページでは基礎研究や仮説生成の効率化、高速化、コスト圧縮につながるAIを開発する企業について特集しています。ぜひチェックしてみてください。

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取材協力
FRONTEOの公式サイトキャプチャ

引用元:FRONTEO公式HP
(https://www.new-dd.com/wp/wp-content/uploads/novel-targets-library_20240530.png)

自然言語AI+バイオロジストが課題を解決

FRONTEOの「Drug Discovery AI Factory」は、AIを活用して、創薬プロセスの効率化・高速化を支援するソリューションです。基礎研究・標的探索・仮説生成といった創薬の初期段階において、大手製薬企業出身のバイオロジストが自社開発の自然言語AI「KIBIT」を活用し、重複差分解析や2次元マッピング解析、ベクトル加算解析など独自の解析を実施。顧客のオーダーにあわせた標的分子・バイオマーカー・MoA・新たな適応症の提案などをスピーディーに行なってくれます。