ターゲット探索(標的分子探索)

創薬ターゲットの探索(標的分子探索)には「新規性の高い標的が出せない」「研究者の知見・バイアスに左右されてしまう」「同じメカニズムの標的を同時に探索している」などの課題が指摘されています。

これらの課題に対して、AIを活用してどのように解決に導くのか。これまでのターゲット探索の課題を整理しつつ、ソリューションになりえるサービスをあわせて紹介します。

目次
標的分子探索

創薬ターゲット(創薬標的)探索とは?

そもそも創薬ターゲット探索・標的探索とは、疾患と関連する遺伝子やタンパク質を特定すること。病気の発症・進行に関わる因子、その病気を治療するために有効な分子などのことです。

これを正確に実施するためには膨大な論文や文献の情報を収集・整理したうえで、網羅的・多角的な評価・検証が不可欠になります。

その他、国内外のアカデミアなどグローバルな研究ネットワークを活用したり、遺伝子解析やタンパク質の構造を解析したり、細胞や動物実験を行うなど、さまざまな手法を用います。

創薬ターゲット(創薬標的)
探索の主な課題とは?

選定効率が悪い

従来、創薬ターゲットの探索は、さまざまなデータから薬の候補となる化合物に見当を付け、事前にスクリーニング(絞り込み)を行った上で、一つひとつについて実験し、効果を検証していました。

しかし、膨大にある情報の中からターゲットを探索するのは非常に困難な作業。作業量にも限界があるうえ、属人的なアプローチとなるリスクがあるからです。しかも、製薬企業の中でも、同じメカニズムの標的分子の研究を進める“二重コスト”が発生してしまうことも少なくありません。

標的分子の「量」が足りない

1年に1つの新薬を創出するためには、「年間で24.3分子が必要」だと言われています。

「年間24.3分子」とはつまり、1か月に2分子、2週間に1分子を作り出さなければいけません。これを出すためにはさらに膨大な標的分子が必要になります。 ただ候補を出すだけでなく、標的を精査しつつ因果関係の考察、解釈を証明する論拠など、必ず必要になってきます。

オミックス解析やリアルワールドデータの活用などで標的は作り出せても、因果関係の考察、分子機能や分子間作用を科学論文等から解釈するなど、仮説生成が必要になります。この「仮説生成」が創薬フェーズの初期段階で大きなネックになっているのは間違いありません。仮説生成に必要な情報も日々更新・追加されていくため、もはやヒトの手には負えない状況になりつつあります。AIなどのテクノロジーの導入・活用なくして、「年間24.3分子」を継続的に創出することは非常に困難と言えるでしょう。

考察

創薬ターゲットの探索・選定における
プロセス効率化に「AI」は必須
~「New-drug-discovery」編集チーム(Zenken)より~

前述したとおり、従来の人の手による創薬ターゲットの探索、選定、それを裏付ける仮説生成はどんどん狭まってきています。例えば、PudMedに掲載されている論文は3000万報以上あり、しかも日々更新・追加され、こうした情報の渦の中から欲しい情報をすぐに抽出するのは不可能に近いと言えます。

「New-drug-discovery」編集チームでは、これらの課題を解決するAIとして、FRONTEOの「Drug Discovery AI Factory」に注目しました。FRONTEOの「Drug Discovery AI Factory」は、バイオロジストが自然言語AIを活用し、科学的アプローチの解析手法で、網羅性・新規性の高い創薬ターゲットを抽出することが可能。加えて、ただ標的を挙げるだけではなく、AIと創薬の知見を網羅的に併せ持つバイオロジストが仮説を含めて提案してくれます。「年間24.3分子」を可能にする、画期的なソリューションと言えるでしょう。

以下、その課題解決アプローチを詳しく見ていきましょう。

FRONTEOの「Drug Discovery AI Factory」とは?

Drug Discovery AI Factory
引用元:FRONTIO公式HP(https://lifescience.fronteo.com/ddaif-sp/novel-targets-library/)

5つの解析手法でスムーズな創薬を支援

FRONTEOの「Drug Discovery AI Factory」とは、下記の5つの解析手法を用いて、従来の人の手ではアプローチしきれなかった課題をAIの活用によって解決し、創薬プロセスの大幅な効率化・高速化を支援してくれるサービスです。

近年の創薬研究は、患者の疾患データや、蓄積された膨大な分子・遺伝子情報などから必要な情報を探索・分析することが不可欠ですが、「Drug Discovery AI Factory」では新規性・成功確率の高い標的候補を短期間で選定できるだけでなく、その標的に関する仮説もあわせて提案してくれます。

創薬ターゲットの選定を効率化・高速化

例えば「重複差分解析」では、複雑な遺伝子間の繋がりを可視化するAIを活用。分析対象としたい疾病に関連する分子や遺伝子を原因性・応答性に分類してパスウェイマップの形状に表示してくれるので、遺伝子間のつながりを把握した上で、新規性の高い標的候補リストを抽出することができます。

また「多面的解析」では、標的遺伝子などを科学性/安全性/多面性などの面からスコアリング評価することで、標的候補の優先順位付けが可能となり、選定の効率化・高速化を実現することができます。

重複差分解析とは?

FRONTEOの重複差分解析

疾患のネットワークをわずか10分で生成

通常なら研究者が膨大な論文を読み込み、試行錯誤しながら数日かけて作り上げる疾患のネットワークを、FRONTEOのAIなら10分程度で生成が可能。3000万報以上の論文を読み込んだAIとそれを活用するバイオロジストが、論文に直接記載されていないつながりを予測して、提案してくれます

重複差分解析でネットワークの重複と差分に注目することで、新規性の高い最適な標的分子候補を高スループットに提供。これまでの研究では得られなかった視点・アイデアを、しかも仮説付つきでもたらしてくれる、画期的な手法と言えるでしょう。

パスウェイマップで可視化

重複差分解析のもう一つの大きな特徴は、分析対象である疾患に関わる分子や遺伝子、それらをつなぐ遺伝子ネットワークについて、パスウェイマップ(関連性を表す経路図)の形状で解析してくれる点。

従来の方法では、検索結果で表示されるのは論文のリストだけ。そこからクリエイティブにつなげるのは非常に難しい作業でした。

しかし、FRONTEOのAIなら、原因性遺伝子と応答性遺伝子のつながりをわかりやすい画面で表すことで、新しい発見や仮設生成のヒントを得ることができます

未知のものも予測できる

FRONTEOのAIは、論文に直接記載のないつながりまでも予測して、ネットワークを構築します。そこから、新たな創薬ターゲットや未知のバイオマーカーを同定したりと、従来の手法では難しかった創薬アプローチを実現することが可能です。

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取材協力
FRONTEOの公式サイトキャプチャ

引用元:FRONTEO公式HP
(https://www.new-dd.com/wp/wp-content/uploads/novel-targets-library_20240530.png)

自然言語AI+バイオロジストが課題を解決

FRONTEOの「Drug Discovery AI Factory」は、AIを活用して、創薬プロセスの効率化・高速化を支援するソリューションです。基礎研究・標的探索・仮説生成といった創薬の初期段階において、大手製薬企業出身のバイオロジストが自社開発の自然言語AI「KIBIT」を活用し、重複差分解析や2次元マッピング解析、ベクトル加算解析など独自の解析を実施。顧客のオーダーにあわせた標的分子・バイオマーカー・MoA・新たな適応症の提案などをスピーディーに行なってくれます。