開発期間に
十数年…
成功確率は
3万分の1…
億単位の膨大な
開発コストがかかる…

そんな創薬の課題を解決に導く
革新的なAIがここに

日本ではひとつの薬が市販されるまでに、十数年もの歳月を要します。
その間にかかる開発コストは約500億円とも。さらに新薬の開発成功率は約3万分の1と言われ、ほとんどの創薬候補は世に出ることはありません。
しかし、AI技術の革新により、こうした課題は解決可能な状況になりつつあります。 このサイトでは創薬の課題を整理しつつ、「スピーディー・低コスト・高精度」という創薬・新時代を叶えるAIの魅力・可能性を解説します。

テーマ
1

創薬の現状

新薬開発の成功率は
年々低下している

新薬開発の成功率イラスト

新薬開発に関してはこれまでデータベースの活用やバーチャル治験といった先端技術を取り入れてきましたが、残念ながら開発成功率は下降線を辿っています。厚生労働省の資料によると、2000〜2004年は「3,653分の1」だった臨床試験開始率は、2015~2019年には「1万301分の1」まで低下。承認取得率も「1万2,888分の1」から「2万2,749分の1」と大幅に悪化しています。

「開発対象が原因未解明でより複雑な疾患にシフトしている」「創薬シーズの枯渇」「承認審査のハードルが上がっている」といった様々な要因が絡み合い、新薬開発の難易度は高まり、もはや人間の力だけでは解決しにくい状況になりつつあるのです。

2000~2004 2015~2019 低下率
前臨床
試験開始
1:2,158 1:3,740 -1,582
臨床
試験開始
1:3,653 1:10,301 -6,648
承認取得
(自社)
1:12,888 1:22,749 -9,861
承認取得数
(自社)
36 24 -12
参照元:【PDF】医薬品開発におけるAIの活用について
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000926770.pdf

研究開発コストは
加速度的に高騰
している

研究開発コスト高騰のイラスト

創薬の難易度が高まる中で、研究開発にかかるコストも年々上昇。日本企業では1993年時の平均研究開発費は302億円でしたが、2003年には612億円、2013年には1390億円、2019年には 1,633億円とこの20年ほどで加速度的に跳ね上がっています

アメリカではその規模がさらに大きく、1993年は841億円、2003年は3,115億円、2013年は5,717億円、2021年は1兆153億円まで高騰。ここまでコストが膨れ上がった背景には原材料費や調達コストの上昇、世界的なエネルギー価格の高騰、研究員の人件費など様々な要因が考えられますが、研究開発のコスト圧縮を複合的に解決する手段としてAI活用の注目度が高まっています

研究開発コスト高騰のグラフ
参照元:日本製薬工業協会 DATA BOOK 2023
https://www.jpma.or.jp/news_room/issue/databook/ja/lofurc000000ybyo-att/DATABOOK2023_J_ALL.pdf)を基に作成

日本は新薬創出数で
国際的な競争力
を失いつつある

後れを取っているイラスト

新薬はどんな国でも開発できるわけではありません。非常に高度な専門知識や技術・テクノロジーが必要とされるため、新薬開発ができる国は事実上限られていて、日本企業はアメリカ、スイスに次ぐ第三位にランクインしています(※)。

日本の創薬力は世界的に高い水準にあるにもかかわらず、10~20年という長いスパンで見ると、創薬創出数トップのアメリカとの差は開くばかり。2014~2018年で日本の創薬創出数は34品目だったのに対し、アメリカは約4倍の125品目と大きく水をあけられています。今後は中国企業などの台頭も見込まれるため、国際的な競争力をこれ以上失わないためにも、日本全体で創薬数を増やしていく取り組みが必要だと言えるでしょう。

※参照元:医薬産業政策研究所
https://www.jpma.or.jp/opir/news/064/10.html
後れを取っているグラフ
参照元:【PDF】The Pharmaceutical Industry in Figures Key Data 2019
https://www.efpia.eu/media/412931/the-pharmaceutical-industry-in-figures-2019.pdf)を基に作成

AIスタートアップ企業
への投資

世界的に進む

AI導入のイラスト

グローバル製薬企業の中で注目度が高まっているのが、AI技術の活用。既存文献の解析、標的分子の探索といった初期段階はもちろん、非臨床試験、臨床試験などのあらゆる創薬プロセスをAI技術で効率化・高速化しようとする動きが盛んになっています

2020年にはヘルスケア関連へのAIスタートアップ企業への投資額が世界全体で20億ドル超え(※)を記録。日本の製薬企業も大手企業を中心にAIを導入しようとする動きが活性化しており、今後もこの流れは継続・加速していくものと思われます。

AI創薬を導入した製薬企業は株価が上昇傾向

創薬プロセスにAIを導入する取り組みは、ビジネスの観点、企業の価値や成長性を評価する材料としても注目を集めています。例えば、アメリカに本社を置くモデルナ社は新型コロナウイルスのワクチンを短期間で開発したことで注目を浴びましたが、このスピード開発を可能にしたのがAIの技術です。遺伝子配列の組み合わせを自動生成するAIや品質検査を画像認識で行なうAIなどを活用した結果、モデルナ社の株価は2018年12月の上場時と比べて、ワクチン開発を経て2021年8月には約26倍まで跳ね上がりました

また、日本では例えば、武田薬品などがAI活用に前向きに取り組んでいます。2023年2月に米企業から買収した乾癬(かんせん)治療薬候補は、AI活用によって薬を選別する期間を6カ月に短縮。この薬が市場に出回ることになれば、年間売上高は5,000億円にも達すると言われています。

こうした大手製薬メーカーにソリューションを提供するAIベンチャー企業への注目度も高まっています。株価が急上昇したり、数百億円の大規模な資金調達に成功したりといったように、企業や投資家から大きな期待を集めています。

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2

段階別で見る
創薬の課題

創薬の各段階において、様々なAIの活用が進んでいます。ここでは、各段階でどんな課題を抱え、AIの活用によってどのように課題が解決されているのかを分かりやすくご紹介します。

医薬品開発における段階別AIの活用の状況

▼表は横にスクロールできます。

開発
段階
段階1基礎研究・
ターゲット選定
段階2化合物探索・
最適化
段階3前臨床試験 段階4臨床試験
期間 〜10年 ~5年 ~4年 ~7年
主な課題
  • 情報収集、仮説生成に膨大な時間がかかる
  • 動物実験頼りのターゲット選定になってしまう
  • 数万種ある化合物のライブラリーから候補を評価して絞り込む作業に時間と労力がかかる
  • 動物実験で事前に予測しきれなかった安全性や毒性への懸念が露見する
  • 特定の疾患や生理的状態を再現するのが難しい
  • 臨床試験に適合する患者が見つからない
  • 治験者の潜在的な合併症へのリスク管理
AI活用
状況/例
△
あまり進んでいない
△
やや進んでいる
  • Virtual Screening
  • computer-aided drug design
  • 構造活性相関(構造⇔生物活性・毒性・ADME他)など
△
進んでいる
  • バーチャル治験
  • 自動ケースレポート作成
  • AI支援治験患者登録など

参照元:【PDF】医薬品開発におけるAIの活用について
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000926770.pdf)を基に作成

結論

ここまで見てきたとおり、 最もAIの活用が進んでいないのは、
創薬の初期段階である「基礎研究・ターゲット選定」の段階

一方、「化合物探索・最適化」「前臨床試験」「臨床試験」の
段階では効率化に貢献しうるAIの開発は進んでいて、
活用・導入を進めている製薬メーカーも少なくありません。
こうした現状を受けて、
さらなる開発期間の短縮やコスト圧縮を目指すなら、
やはり「基礎研究・ターゲット選定」
の領域におけるAIの活用・導入が必要
になってくるでしょう。
この段階でAIの導入をいち早く進めていけば、
他の製薬企業に一歩先んじることが可能になるはずです。

テーマ
3

AI創薬の活用の効果

基礎研究、ターゲット選定、ドラッグリポジショニングにAIを活用するとどう変わる?

ここからは創薬プロセスの初期段階である「基礎研究・ターゲット選定」に加え、既存薬の転用により短期間での開発が可能になる「ドラッグリポジショニング」において、AIを活用するとどんな高速化・効率化が図れるのか、Before&Afterでわかりやすく解説します。

PubMedで検索するが、
いくら調べても研究テーマに
合う論文にたどり着けない…

論文探索beforeイラスト

キーワードにとらわれない
文章・仮説などの“概念検索”により
テーマに合う論文がすぐ見つかる!

論文探索afterイラスト
何が変わった?

創薬に携わる多くの研究者が日常的に使用し、医学・生物学上の文献が掲載されているデータベース「PubMed」(※)。3000万報以上の論文が掲載されていますが、研究テーマに合うor仮説を裏付けるような文献を探し当てるだけでも一苦労です。検索する際は具体的なキーワードを入力する必要があるため、どうしても研究者の知見に左右され、新しい気づきが得られるような情報に出会いにくいという弱点もありました。

こうした作業に膨大な情報を読み込める自然言語AIを使えば、その労力と時間を大幅に削減することが可能。キーワードではなく、文章や簡単な仮説での検索ができるため、研究テーマに合った論文の情報をすぐに入手することができます。また、論文情報を視覚的にわかりやすく表示してくれるため、新しい仮説を生むヒントをもたらしてくれることもあるでしょう。

※米国国立医学図書館内の国立生物科学情報センターが作成する生物医学領域の論文データベース

研究員が知見を持ち寄り、
ターゲット候補を挙げるも
疾患との繋がりが掴めない…

ターゲット候補の探索beforeイラスト

膨大な論文からAIが情報を収集
疾患のネットワークを重ねて
共通のパスウェイを
導き出してくれる

ターゲット候補の探索afterイラスト
何が変わった?

薬の候補となる創薬ターゲットを選定する際、従来では研究員たちがお互いに論文や文献を読み漁り、疾患との関連性などを議論しあい、候補を絞り込むなどしてきましたが、効率的な方法とは言えませんでした

こうしたターゲット候補の探索・選定もAIを使えば、大幅な効率化・高速化が可能になります。膨大な論文情報をベースにAIが確かな根拠をもって、ターゲット候補の疾患との関連性を可視化。例えば、疾患Aと疾患Bのネットワークを重ねることで、共通のパスウェイを発見することができます。こうした既知の情報から未知の予測を生み出せるのもAIの強みと言えるでしょう。

標的候補を挙げたものの、
情報の整理や精査ができず、
定量的な評価ができない…

ドラッグリポジショニングbeforeイラスト

標的候補に関する
評価項目をAIが自動でスコア化
疾患との繋がりが一目瞭然に

ドラッグリポジショニングafterイラスト
何が変わった?

ドラッグリポジショニングにおいて大事なのは 薬の種となる標的候補の評価。どんな疾患に効果があるのか、安全性に問題はないのか、といった点に関して、論文や実験データを読み漁り、時には専門家の意見をもらうなどして、評価を下していきます。ただこのような従来の方法では臨床試験などで思わぬリスクが露見することもしばしばで、その場合大きな出戻りが発生してしまいます。

こうした事態を防ぐには、AIの活用が有効。標的候補を関連性、原因性、安全性などの多角的な観点で評価してくれるため、標的を提案するうえでのエビデンスやロジックの強化が可能に。また、自動でスコアリングしてくれるため、疾患とのつながりも一目瞭然になります。

取材協力

エキスパートの高難度な判断を
トレースする
FRONTEOの創薬支援サービス
「Drug Discovery AI Factory」

FRONTEOの公式サイトキャプチャ

引用元:FRONTEO公式HP
(https://lifescience.fronteo.com/ddaif-sp/novel-targets-library/)

Drug Discovery
AI Factoryとは?

自然言語AI+バイオロジストが課題を解決

ケーススタディの①~③で挙げたようなAIを活用したソリューションを提供してくれるのが株式会社FRONTEO。同社の創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory」は、基礎研究・標的探索・仮説生成といった創薬の初期段階において、大手製薬企業出身のバイオロジストが自社開発の自然言語AI「KIBIT」を活用し、重複差分解析や2次元マッピング解析、ベクトル加算解析など独自の解析を実施。顧客のオーダーにあわせた標的分子・バイオマーカー・MoA・新たな適応症の提案などをスピーディーに行なってくれます。

重複差分解析

自然言語AIエンジン「KIBIT」を駆使して、遺伝子と疾患に関連性があるかどうか、どのくらいの関連性があるかをスコアで表示。疾患Aと疾患B、2つのネットワークの重複差分を分かりやすく可視化し、両疾患に共通した治療標的/バイオマーカーの可能性を探しやすくしてくれます。

2次元マッピング解析

膨大な量のデータを平面上にマッピング化。注目遺伝子と関連する疾患や症状を視覚的に捉えることが可能です。遺伝子同士がオーバーラップしているエリア(クラスター)に注目し、エリアに含まれる遺伝子群を論文探索ツールAmanogawaで探索することで、仮説生成のヒントを得ることができます。

ベクトル加算解析

ベクトル加算解析は、仮説の検証ができるツールです。例えば、一般的にどの人も加齢と共に認知機能は低下しますが、すべての高齢者が病的に低下するわけではありません。ではどんな因子が影響するのか?自身の仮説を基に様々なベクトルを加えることで、AIが加算解析を行ってくれます。

多面的解析

独自の人工知能「KIBIT」を用いて、ターゲット分子のポテンシャルを網羅的・効率的に分析することが可能。しかも、ターゲット選定の際に重要な、科学性評価や市場性評価、薬品の開発状況など、複雑な評価指標についてもAIによりスコアリングし、創薬の成功率を飛躍的に押し上げてくれます。

Virtual Experiments

重複差分解析や2次元マッピング解析で抽出された遺伝子に対して、バーチャル上でノックアウト。別の遺伝子に置き換わるのか、ネットワークが大きく変わるのか、ノックアウトにより遺伝子がどんな反応を示すかによって、薬効などを予測することが可能です。

FRONTEOの会社情報

FRONTEOの会社情報

社名 株式会社FRONTEO
本社所在地 東京都港区港南2-12-23 明産高浜ビル(受付8階)
設立 2003年8月8日
公式HPのURL https://lifescience.fronteo.com/ddaif-sp/novel-targets-library/

新薬の研究・開発プロセスにAI技術を活用することで効率化や生産性向上を図るAI創薬。創薬には「研究開発に10年以上かかる」「成功確率が年々低下している」「研究開発費が高騰している」など様々な課題がありますが、近年は新薬開発の様々な段階でAIが用いられ、製薬企業やAIベンチャー企業の動きが活発化してきています。ここでは、AI創薬について知っておきたい基礎知識をまとめました。

コロナ禍以降、世界的に創薬関連のニュースが飛び交い、製薬企業やAIベンチャーに対する注目度が高まっています。2023年も、製薬業界では国内外で様々なニュースが届いており、ここでは2023年5月時点での製薬業界の気になる創薬関連のニュースをまとめてご紹介。製薬会社やメーカーの新薬開発状況など、業界の動向もぜひチェックしてみてください。

このサイトについて

このサイト【AIで実現する「創薬・新時代」解説メディア~New-drug-discovery~】はZenken株式会社が制作・運営しています。一部のコンテンツに関して、創薬の課題をAIで解決する創薬支援サービスを提供する株式会社FRONTEOに取材協力していただきました。 掲載されている情報は2023年3月~2023年5月当時のもので、最新の情報は公式HPからご確認ください。