製薬業界の課題を
AIでどう解決する?

研究開発費の高騰、パイプラインの枯渇、新薬成功確率の低下など、製薬業界はとりわけ創薬において今様々な課題に直面しています。こうした課題を包括的に解決しうる手段として注目を浴びているのがAIの技術。このページでは、AIが製薬業界の課題をどう解決に導くのかをわかりやすく紹介します。

目次
製薬業界の課題

製薬業界が抱える主な課題とは

研究開発に10年以上かかる

新薬の開発は、薬の種類や開発プロセスによって異なりますが、一般的に10年以上かかると言われています。

膨大な量のデータベースの中から病態にかかわる標的分子を見つけだしたり、薬の候補となる化合物などを探し出すだけでも非常に時間がかかるうえ、有効成分となる化合物を最適化し、動物実験等や臨床実験で有効性や安全性を確認しなくてはならないからです。

予期せぬ副作用等があった場合は、有効性と安全性のバランスや他剤との比較なども行います。中には、1,000人以上の患者を対象とした臨床試験が必要なケースも。研究開発に10年以上かかると言われるのは、こうした背景があるからです。

※参照元:医薬品産業の現状と課題(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000398096.pdf)

成功確率は年々低下、研究開発費は高騰している

新薬開発の成功率は、低下傾向にあります。

厚生労働省によると、2016年頃の成功率は約2万件に1件の割合だったのに対し、2021年には約3万1,000件に1件(※)。この15年で、成功率が大幅に落ち込んだことになります

この原因は、「医学の進歩によって開発の対象がより複雑で原因不明の疾患にシフトしていること」が挙げられ、難病や希少疾患は難易度が高く、創薬が成功確率の低い産業になりつつあります。

成功率は低下する一方で、研究開発費は年々増加。厚生労働省の資料によれば(※)、2016年に日本の企業1社あたり1,301億円だった研究開発費は2019年には1,633億円まで上がり、アメリカをはじめ海外企業はより加速度的なコストの上昇が見受けられます。

こうした新薬の成功率向上、研究開発費の削減は喫緊の課題であり、解決のためにAIを活用しようとする動きが広がりつつあります。

※参照元:医薬品産業の現状と課題 (https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000398096.pdf)

【段階別】AI創薬の導入例について
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課題を解決するための創薬AIのアプローチ

ここからは上記で挙げたような製薬企業が抱える課題を解決しうるAI技術について例を挙げて紹介していきます。

例えば、論文探索AIを導入する

欲しい情報にすぐたどり着ける

新薬を開発するためには、論文情報と公開データベースを日々チェックし、知識や知見をアップデートすることが不可欠です。とはいえ、研究を行ないながら、年々増え続ける膨大な情報をタイムリーにチェックするのは簡単ではありません。

論文探索AIを導入すれば、膨大な論文情報から検索したい情報を一瞬にして抽出・分類することが可能。関連する論文情報はマップ状に表示され、視覚的に情報を把握できます。

これまで論文検索に費やしていた膨大な時間と労力を効率化し、より実務的な作業に集中できるため、開発期間の短縮も期待できるでしょう。

例えば、標的探索のAIを導入する

確実性の高い標的探索が可能に

成功率が低い原因としては「創薬の対象がより複雑な疾患にシフトしている」ことなどが挙げられます。当然ながら希少な疾患に対する創薬の難易度は高く、標的探索はもちろん、それに伴う仮説生成も研究者たちの頭を悩ませる一因となっています。

この標的探索にAIを導入すれば、探索プロセスは大幅に効率化できます。例えば、FRONTEOの「KIBIT Amanogawa」は論文を位置情報でプロットしマップ状に可視化。マップの一部を選択し、その部分のクラスタのみを対象に絞り込んだ探索や、システム画面上でのアブストラクト(要旨)の参照も可能です。論文を読んでいるだけでは見えなかった分子間・遺伝子間の意外な関係性を視覚的にとらえることができます。研究者の知見にAIの網羅的な探索をプラスすることで、新しい発見をもたらしてくれるでしょう。

考察

創薬プロセスのAI活用は今後さらに進む
~「New-drug-discovery」編集チーム(Zenken)より~

「研究開発に10年以上かかる」「成功確率が年々低下」「研究開発費が高騰している」など製薬企業は特に創薬の領域において大きな課題を抱えています。AIを導入することで、膨大な数の論文を読み込んだり、データベースから必要な情報をイチから探し出したりする手間が省け、標的探索の効率化・精度向上を図ることができます。

しかしながら、こうした創薬の初期段階は、厚生労働省も指摘しているとおり、AIの導入・活用が最も進んでいない領域。言い換えれば、製薬企業の多くがアプローチできていない領域であり、ここにAIを採り入れることで他社に開発スピード・開発精度という観点で差をつけることが可能になります。

当メディアを運営する「New-drug-discovery」編集チームでは、そんな創薬の初期段階における仮説生成やターゲット探索に役立つAIを開発し、企業の課題解決に寄りそうサービスを提供する株式会社FRONTEOに注目。そのAIサービス「Drug Discovery AI Factory」の魅力や革新性についてインタビュー取材しました。創薬の初期段階の課題を解決したいとお悩みの企業の方はぜひ下記リンクからチェックしてみてください。

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取材協力
FRONTEOの公式サイトキャプチャ

引用元:FRONTEO公式HP
(https://www.new-dd.com/wp/wp-content/uploads/novel-targets-library_20240530.png)

自然言語AI+バイオロジストが課題を解決

FRONTEOの「Drug Discovery AI Factory」は、AIを活用して、創薬プロセスの効率化・高速化を支援するソリューションです。基礎研究・標的探索・仮説生成といった創薬の初期段階において、大手製薬企業出身のバイオロジストが自社開発の自然言語AI「KIBIT」を活用し、重複差分解析や2次元マッピング解析、ベクトル加算解析など独自の解析を実施。顧客のオーダーにあわせた標的分子・バイオマーカー・MoA・新たな適応症の提案などをスピーディーに行なってくれます。