スパコン「Tokyo-1」が叶えるAI創薬

目次

Tokyo-1とは

Tokyo-1とは、AI創薬を支援するサービスです。「NVIDIA DGX」のスーパーコンピューターを用い、計算環境と情報コミュニティーを構築しています。三井物産子会社のXeureka(ゼウレカ)によって、製薬企業の研究技術向上のために立ち上げられました。

Tokyo-1のユーザー企業は米NVIDIA製GPUスパコン「NVIDIA DGX H100」の専用サーバーにアクセスでき、創薬のために利用可能です。ゼウレカとNVIDIAによる創薬向けのAIモデル・AI開発ツールの提供、技術サポートを受けられます。情報コミュニティーではサービス利用企業間での意見交換や知見共有ができるシステムも使用可能。情報の収集や非競争領域における協力体制の手助けになります。また、両社が開催するワークショップへの参加も、Tokyo-1の利用料のみで可能です。

ゼウレカではTokyo-1始動のために、米NVIDIA製GPUスパコン「NVIDIA DGX H100」を10台以上導入。プロジェクトの拡大に合わせてCPUやメモリといったノードを適宜追加していく計画が立てられています。計算環境は2023年12月からすでにテスト運用が開始されていて、2024年の1月中旬からは本番と同様のサービス環境で運用開始。「従来の30~60倍ほど計算速度が早くなった」という声が上がっています

ゼウレカとはどのような企業か

ゼウレカは、三井物産株式会社によって2021年に設立された、創薬の基礎研究のための会社です。AIやシミュレーション等のコンピューター技術を活用した研究開発や、AI創薬支援サービスの提供が主な事業内容。新薬開発の効率化や成功率の改善を目指し、良い薬の安く速い提供に貢献しています。また、遺伝子情報などをIT解析して生活や医療に活かす、バイオインフォマティクス事業の展開にも積極的です。

Tokyo-1の今後

開発企業のゼウレカでは今後、様々な日本の製薬会社、スタートアップ企業への導入を計画中です。2024年の夏までに大手製薬企業2~3社の新規加盟、さらに2025年3月までにスタートアップ向けのサービス展開を見込んでいます。日本の製薬業界では以前から新薬承認の遅延(ドラッグラグ)が課題に挙がっていました。この問題を解消するためにAIの導入が有効だと考えられており、Tokyo-1の利用拡大が創薬躍進の一手になると期待されています。

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取材協力
FRONTEOの公式サイトキャプチャ

引用元:FRONTEO公式HP
(https://www.new-dd.com/wp/wp-content/uploads/novel-targets-library_20240530.png)

自然言語AI+バイオロジストが課題を解決

FRONTEOの「Drug Discovery AI Factory」は、AIを活用して、創薬プロセスの効率化・高速化を支援するソリューションです。基礎研究・標的探索・仮説生成といった創薬の初期段階において、大手製薬企業出身のバイオロジストが自社開発の自然言語AI「KIBIT」を活用し、重複差分解析や2次元マッピング解析、ベクトル加算解析など独自の解析を実施。顧客のオーダーにあわせた標的分子・バイオマーカー・MoA・新たな適応症の提案などをスピーディーに行なってくれます。