ドラッグ・ロスの現状と創薬AIによる課題解決の可能性
ドラッグ・ロスとは
海外ではすでに一般的に使われている治療薬にもかかわらず、日本では開発が行われていないために国内で使うことができない状況をドラッグ・ロスといいます。
日本製薬工業協会の2023年11月時点における発表によると、2016年以降、国内未承認薬数および未承認比率が増加しているとのこと。2020年末の国内未承認薬は176品目あり、国内で開発がされていないのは95品目にのぼり、国内で開発中・欧米に遅れて承認される見込みである「ドラッグ・ラグ」81品目を上回っています。
なぜ日本はドラッグ・ロスの状態になってしまうのか
日本では販売時の想定価格が欧米に比べて低い上、市場に出回るほど薬価が下がるため、欧米諸国に比べて収益性が低いと言われています。
また、承認を得るのもハードルが高く事業が成り立ちにくいため、日本市場でわざわざ医薬品の開発を検討する企業はほとんどいません。
特に資金に限りのある海外の新興企業などが参入してこないのが現状です。しかも、すでに欧米では承認され使われている治療薬も日本では承認に時間がかかるため、タイムラグ(ドラッグ・ラグ)が生じます。日本がドラッグ・ロスになってしまいやすいのは、このような背景があるのです。
日本のドラッグ・ロスを解消するには?
ドラッグ・ロスの解消に向けて、厚生労働省は薬価上の措置を見直す議論を進めています。世界に先駆けて日本で開発する医薬品に対し、薬価を加算する案など制度を緩和する動きが浮上しています。
AI創薬もまた、ドラッグ・ロスの解消を期待できるひとつの手です。AI創薬によって創薬プロセスが効率化すれば、開発から承認までの期間を短縮でき、ドラッグ・ロス解消に繋がる可能性があります。
自然言語AI+バイオロジストが課題を解決
FRONTEOの「Drug Discovery AI Factory」は、AIを活用して、創薬プロセスの効率化・高速化を支援するソリューションです。基礎研究・標的探索・仮説生成といった創薬の初期段階において、大手製薬企業出身のバイオロジストが自社開発の自然言語AI「KIBIT」を活用し、重複差分解析や2次元マッピング解析、ベクトル加算解析など独自の解析を実施。顧客のオーダーにあわせた標的分子・バイオマーカー・MoA・新たな適応症の提案などをスピーディーに行なってくれます。